真空成膜
既存製品に機能を付与できる薄膜合成技術の1つとして、真空成膜技術があります。真空成膜とは、真空下で気化・プラズマ化した原料を蒸着させることで膜を形成する技術です。当研究室では特に、物理気相成長(PVD)と化学気相成長(CVD)を用いた薄膜合成について研究を行っています。これらの方法は、真空中で成膜を行うため、安定して高純度で均一な膜を得ることができるのが特徴です。
大気圧プラズマCVDの様子
近年のスマートフォン等の製造工程では、耐擦傷・防汚・反射防止などの機能を付与するためのコーティングの積層数増加が課題となっています。そこで当研究室では、コーティングの積層数を減少させるため、単一で複数の機能を有するフッ素添加非晶質炭素膜の研究を行っています。このコーティング膜は、非晶質炭素膜にフッ素が添加されていることで膜の表面自由エネルギが低下し、水や汚れをはじく機能を持ちます。加えて、膜を形成するC-F結合は分極率が低いため薄膜の屈折率が小さく、反射を抑える機能も期待できます。
コーティングのイメージ
ダイヤモンド合成の方法として、メタンガスを炭素源として水素との混合ガスから合成する技術が一般的に知られています。当研究室では、ガスではなく固体炭素からダイヤモンドの合成を行う、新たなダイヤモンド合成技術の研究を行っています。合成方法としては、熱フィラメント法を用いています。この方法は、水素ガスを導入し、フィラメントを約2000℃まで熱することで、水素分子が熱分解され水素ラジカルが生成されます。これを固体炭素に衝突させることで炭素を揮発させ、ダイヤモンドを合成します。
合成ダイヤモンドのSEM写真
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