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大気圧合成

◇ ダイヤモンドライクカーボン薄膜を用いたフレキシブル太陽電池

 近年、曲面上などあらゆる場所に設置可能なフレキシブル太陽電池に注目が集まっている。この太陽電池にはフレキシブル性に加え、耐久性と安定性に優れることが必要となる。当研究室では、これらの要求を満たすDLCの太陽電池応用に向けて研究を行なっている。DLC太陽電池の優れた点は次の2つである。1つ目は製造コストが低いことである。DLCの原料は安価で安全な炭化水素ガスであり、簡易な製造設備で合成が可能である。2つ目はバンドギャップを制御し、多接合太陽電池の作製が可能であることである。吸収可能な光の波長域はバンドギャップの大きさによって決まる。そのためバンドギャップの異なる2つのpn接合を作製することで吸収可能な光の波長域が広がり変換効率が向上する。

DLC太陽電池の積層構造

多接合太陽電池の構造

pin構造と変換効率の向上

皮膚表面デバイスのイメージ

 DLC太陽電池の実現にはさらなる性能の向上が必要である。当研究室ではDLC薄膜物性・発電機構の解明やデバイス設計に着目して研究を進めている。現在までにフッ素添加DLC(F-DLC)を用いたF-DLC太陽電池、およびDLC太陽電池へのpin構造の導入により変換効率の向上に成功している。F-DLC太陽電池では、フッ素添加により左図のようにDLC内に存在する欠陥(DB)が低減され、変換効率が向上した。pin構造とは左図に見られるようなアモルファスシリコン太陽電池に用いられる構造であり、p型半導体層とn型半導体層の間に真性半導体層(i層)を導入したものである。i層の導入によりDLC太陽電池においても大幅に変換効率が向上した。

 DLC太陽電池が実現化することで、日常生活のあらゆる場面で太陽電池が利用され、太陽電池の普及がさらに進むと考えている。例えば、ロボットや医療分野においてセンサーの需要が高まってきており、薄膜化・軽量化が必要となってきている。DLC太陽電池はこのようなセンサーへの応用として期待できる。社会・エネルギー問題の解決に貢献するため、当研究室ではDLC太陽電池の実現に向けて成膜技術、分析技術を用い研究を行なっている。

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